研究内容とスタッフ

 タンパク質翻訳におけるtRNA-wobbleウリジン修飾の生理的意義

中井由実 講師 / yumi.nakai(at)ompu.ac.jp

tRNAは様々な転写後修飾を受けることが知られています。このうち、特に、Lys, Glu, Glnを指定するtRNAのアンチコドン1位のウリジンの転写後修飾に関連した研究を行っています。このtRNA-wobbleウリジン修飾は2種類の塩基修飾を併せ持ちますが、これらはそれぞれが複雑な修飾基形成経路を経て形成されます。近年、癌細胞の生育や性質の変化、神経変性などの、疾患につながる細胞機能不全とこの転写後修飾が関連する可能性が指摘されています。一方で、ヒトを含む、複雑な細胞構築をもつ多細胞真核生物の細胞機能発現過程でのtRNA-wobbleウリジン修飾による翻訳微調節機構の作用点は依然不明であり、その詳細を解明することを目的として研究しています。

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 スフィンゴ脂質代謝酵素

生城浩子 講師 / hiroko.ikushiro(at)ompu.ac.jp

スフィンゴ脂質は生体膜の重要な構成成分ですが、糖脂質として糖鎖の足場となっているという従来から知られた役割に加えて、スフィンゴシン1-リン酸など情報伝達物質としての役割が最近明らかになって来ています。当教室ではスフィンゴ脂質生合成の律速酵素であるセリンパルミトイル転移酵素や分解系の酵素スフィンゴシン1-リン酸リアーゼなどの詳細な酵素学的解析を行っており、スフィンゴ脂質代謝研究において最も基盤となる重要な分野を開拓しています。

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 バイオフィルム形成機構

石井誠志 講師 / seiji.ishii(at)ompu.ac.jp

細菌のバイオフィルム形成は、日和見感染や留置カテーテルの感染といった医療行為に伴って発生する慢性・抗生物質抵抗性の感染症を引き起こす原因として注目されています。当教室ではバイオフィルム形成の指令をつかさどる quorum sensing のシステムにおいて中心的な役割を担う Streptococcus のタンパク質 ComA ペプチダーゼドメインの立体構造を世界で初めて明らかにしました。このタンパク質の詳細な解析を通じてバイオフィルム感染症に対する有効な予防・治療法の開発を目標としています。

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 タンパク質の機能

村川武志 助教 / takeshi.murakawa(at)ompu.ac.jp

生命現象の多くは化学反応であり、それを触媒しているのは酵素です。この意味で酵素の触媒反応機構についての知見はタンパク質一般の作用機構の解明に役立ちます。酵素反応機構の解析を通じて酵素タンパク質と基質や補酵素がどのように反応しているかということが具体的に分かり、生体における低分子と高分子の相互作用の解析のモデルとなるわけです。当教室では分光学的方法や X 線結晶解析の方法を用いて種々の酵素の反応機構を研究しています。その結果、新しい型の酵素触媒原理の発見や、誘導適合現象の機構の解明などの成果を挙げています。

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 核酸が形成するミスマッチに関わるタンパク質

福井健二 助教 / kenji.fukui@ompu.ac.jp

ミスマッチをキーワードに研究を行っています。細胞内では DNA や RNA がミスマッチ塩基対を形成することがあります。これらを認識するタンパク質に注目し、それらの機能を明らかにすることで新しい生命現象を見出し、反応機構を解明したいと考えています。また、ミスマッチ認識タンパク質を応用した、基礎研究あるいは診断のための新しい技術の開発にも取り組んでいます。

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