ご挨拶
神経

 大阪医科薬科大学小児科神経グループで小児神経を学び、小児神経学の専門医になりましょう。

 小児神経疾患のお子さんはひとりひとりが稀少疾患のお子さんであり、重度な障害をお持ちのお子さんもたくさんおられます。また神経発達症/発達障害のお子さんたちは、さまざまな困難をかかえ、大変困っておられます。日常生活・社会・学校への適応が難しいお子さんたちひとりひとりと密にかかわり、こころとからだの健康を一緒に目指す、小児科医としてやりがいを感じることのできる領域です。

 今、小児神経学は近年めざましい進歩を遂げている領域です。神経ネットワークや神経細胞の機能解明だけでなく、画像診断学、認知機能科学、遺伝子学、免疫学、蛋白機能の解析、などの分野の進歩により、病態の理解に基づいた新しい治療法がつぎつぎと確立されている分野です。若い先生にも興味をもって取り組める分野ではないかと思っています。
 質の良い診療や研究あるいは研修とはどうあるべきなのか、まだまだ模索中ではありますが、私たちのグループでは、若い医師たちが中心となって、診療にも研究にも力を注いでおります。既存の概念にとらわれず、個々のスタッフが疑問に感じたことに、どう向き合うのかをそれぞれが考え、何のてらいもなく他のスタッフと意見交換しながら、真摯に診療・研究と向き合うことができている環境ではないかと思っています。  

 当施設は小児神経科専門医研修認定施設、日本てんかん学会の研修施設に認定されています。興味のある方は見学にいらしてください。

おもな研究分野

てんかん

てんかんにおいては、MRI、SPECT、PETなどの機能画像検査に加え、ビデオ脳波同時モニタリング装置を用いた診断と治療が可能です。高周波解析脳波などのツールをもちいた研究を今後すすめてまいります。包括的な診療にも目を向け、てんかんをもつ児の認知行動の解析を進めていきたいと思っています。

神経発達症 神経発達症の診断、治療は、最近の発達障害への注目度の高まりや、発達期のお子さんをお持ちのご家族の関心の高まりから、非常に身近なものとなりました。認知機能に特性をもつお子さんたちは、学童期に、高頻度に学習困難状態を発症することがわかってきております。われわれは、学童期神経発達症の学習困難や限局性学習症の診療と研究をおこなっています。それぞれのお子さんの学習困難は、どのような認知機能の問題から生じているのか?その脳内機序を分析し、結果から導かれた学習支援方法を提案しております。これらの診療および研究は、LDセンター、小児高次脳機能研究所と密に連携して行っております。限局性学習症の診療や対応をテーマとしたセミナーを年1回開催しております(LD診療セミナーベーシックコース・LD診療セミナーアドバンスコース)。そちらも是非ご参加ください。
LDセンターホームページもご参照ください。
超早産児の認知機能 超早産児において、発達障害の合併率が多いことは報告されています。発達検査で正常範囲内といわれていても就学後に問題を指摘されることも増えてきています。一方、超早産児は、正期産児にくらべて脳細胞や神経ネットワークに違いが生じている可能性が報告されており、発達障害と診断される臨床症状にも少し違いがあるのではないかと議論されています。大阪医科薬科大学では、LDセンターに来院される正期産児の臨床結果をもとに、超早産児のお子さんたちの違いを検討し、超早産児の認知機能の解明に取り組んでいます。今年度は、超早産児のお子さんたちが幼児期、学童期になられたあと相談に来ていただける相談外来も小児高次脳機能研究所の元に開始する予定です。
ダウン症候群の認知機能 ダウン症候群の臨床像においてまだまだよくわかっていないことも多く、ダウン症候群の認知機能も例外ではありません。ダウン症候群の認知機能における経年的な変化は、世界的に注目されている大きな問題点であり、より詳細な分析が必要です。ダウン症の方がより健康に長期に過ごせるよう多くの臨床研究や基礎研究が必要です。
おもなスタッフ
小児科講師
島川 修一
日本小児神経学会評議員
日本てんかん学会評議員
小児神経専門医
てんかん臨床専門医
小児科専門医
非常勤講師
大阪大谷大学教育学部教授
福井 美保
日本小児神経学会評議員 小児神経専門医
てんかん臨床専門医
小児科専門医
中央検査部助教
北原 光
  小児科専門医

学会活動

日本小児科学会、日本小児神経学会、日本てんかん学会、日本小児神経学会近畿地方会、近畿てんかん学会、大阪小児てんかん研究会、大阪小児神経懇話会、阪神小児神経筋疾患懇話会、大阪てんかん研究会などに積極的に学会発表をおこなっており、当ユニットのスタッフが各学会・研究会の世話人や幹事を担当しております。