心エコー部門

超音波検査(エコー検査)は安価で簡便に行うことができ、しかも検査による痛みを伴わない、患者さんに優しい検査です。大阪医科薬科大学病院・循環器内科は中央検査部の協力のもと、年間約4000件の心臓エコー検査、80件の経食道心エコー検査(胃カメラのように口からのんでもらう検査です)、500件の頚動脈/下肢静脈エコー検査を行っています。

写真1 左心室の短軸(輪切り)断面上にある色のついたポイントが1心拍でどのくらい動くかを見ています。近年の超音波検査の進歩には著しいものがあります。昔なら左心室や左心房の大きさといった大まかな構造の変化がわかれば十分でした。現在では、コンピューター技術の格段の進歩もあって、肉眼では追えないような心臓の動き―たとえば5ミリ四方の左心室の筋肉のブロックが1秒後にどのあたりに移動しているか―が把握できるようにまでなっています(写真1)。

また、心臓の立体画像(3D)も探触子(患者さんの体に当てる棒状の部品)の工夫によって見ることができるようになりました(写真2)。

3Dだと心臓病の診断はもちろんのこと、外科医が手術のシミュレーションを行う際にも役立ちます。

写真2 心臓の立体画像で、左心室と右心室を取っ払った状態を見ています。左が三尖弁、右が僧帽弁です。しかし、心臓超音波検査の本当の目的は、前述のようなハード・ソフトの技術革新を享受することではありません。患者さんの治療方針を決めるにあたってエコー検査をどのように使うのか、治療によってエコー所見がどう変化し、それが治療結果にどう反映したのか、といったことを日々の臨床で反芻することが大切となります。

このような観点から、循環器内科では週1回エコーカンファレンスを行っています。医学生・研修医および検査技師の教育も兼ね、われわれ一人ひとりが「心エコー学」のブラッシュアップため精進を重ねている次第です。


 

 



 

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