不整脈には治療の必要がない軽症例から生命に関わる重症例まで様々ありますが、現在では各疾患についての原因・病態が次々に明らかとなり、検査法や治療法も多様となっています。当科では頻脈性不整脈に対して高周波カテーテルアブレーション治療を積極的に行っています。
突然始まる動悸や脈の乱れは不整脈と考えられ、心臓内の刺激伝導に異常が生じている可能性があります。最初は軽い症状でも、放っておくと脳梗塞や突然死を引き起こす危険な不整脈もあります。
高周波カテーテルアブレーションとは、脈が速くなる頻脈性不整脈に対して行われる治療であり、不整脈の原因となる異常な電気興奮を発生する部位や、異常な電気興奮が旋回する回路を選択的に焼灼することより、頻脈を根治する手術です。適応疾患は、発作性上室性頻拍(WPW症候群など)、心房頻拍、心房粗動、心房細動、心室性期外収縮、心室頻拍など多岐にわたり、疾患によって偏りはあるものの、当科での成功率は70-95%と良好です。
疾患名 | 手術時間 | 入院日数 | 成功率 |
発作性上質性頻拍 房室結節回帰性頻拍 房室リエントリー性頻拍 (WPW症候群) |
1-2時間 | 約5日間 | 95-99% |
心房粗動 / 心房頻拍 | 1-2時間 | 5日間 | 80-95% |
心房細動 発作性心房細動 持続性 / 慢性心房細動 |
2-3時間 3-4時間 |
約7日間 | 80-90% 70-80% |
心室頻拍 / 心室性期外収縮 |
2-3時間 | 5日間 | 80-90% |
とくに心房細動に関しては 発作性心房細動から、これまで治療は困難とされてきた慢性心房細動まで幅広く治療を行っており、イリゲーションカテーテル、3Dナビゲーションシステムを用いた方法で、術時間・合併症の軽減、レントゲン透視時間の短縮、成功率の向上に努めています。
その他、心臓血管外科と協力し、徐脈性不整脈、難治性不整脈、慢性心不全に対するペースメーカー治療、植え込み型除細動器治療(ICD)、心臓再同期療法(CRT)なども積極的に行っています。
不整脈でお困りのことがございましたらお気軽にご相談下さい。
文責 垣田 謙
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