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組織像(FlashPix:816K):

 腫瘍は中心部に壊死を伴う大きな胞巣を形成しつつ増殖し、個々の 腫瘍細胞は基底膜側では立方状の、内腔側はほぼ均一な細胞からなり、角化は乏し いが、細胞間僑の他、individual cell keratinization がみられる。 腫瘍の進展形態としては、気管支への浸潤か強いと考えられ、一つは閉塞性肺炎 による肺胞睦内の器質化とこの中心部に腫瘍が進展しているもので、恐らく中枢の 気管支内膣への腫瘍浸潤によってまず閉塞性肺炎が生じ、その後この気管支を通じ て末梢側に腫瘍か進展してきたものと考えられる。一方、小葉間結合組織を浸潤し、 次の小葉へ突出したところでは、肺胞腔内を埋めるように増殖し、閉塞性肺炎を伴 わない部分かみられ、これは腫瘍組織による直接的な肺胞の破壊やKohn's pore を通しての進展であろう。 腫瘍は壊死傾向が比較的強く、先進部からわずかに中心部でも既に、間質周囲を 残して壊死となっている。リンパ管侵襲は見られないが、脈管侵襲は散見される。 気管支の破壊が強い。胸膜面の変化は閉塞性肺炎に由来するもので腫瘍の浸潤はみ られない。肺内転移は見られない。断端気管支(上葉支口)は陰性。 肺門リンパ節には巨細胞を伴う類上皮細胞性肉芽腫がみられる。悪性腫属 リンパ節に多くみられる所見である。
 



胸部正面/胸部側面/胸部断層/CT肺野/乾燥伸展標本/軟線撮影/再構成像/組織像/最終診断