気管支鏡による細胞診及び組織診にて腺癌
術前診断は左S5原発、c T1N0M0臨床病期I期
90.02.19:左上葉切除術十リンバ節郭清R2a
手術所見:第5肋間、左前腋窩切開にて開胸
リンバ節:郭清範囲R2a :#3(なし)、#4(0/3)、#5(0/2)、#6(0/2)、#7(なし) P0、D0、El(−)、PM0、
術中診断:s Tl N0M0、病期I期
根治度:絶対的治癒切除
手術材料: 生:大きさ23 x 10 x 4.5 cm、重さ210gの左上葉肺で、肺尖部を中心として炭分沈着 か中等度認められる。S3末梢の胸膜面は軽度肥厚し、また肺尖部とS3bあたりに 胸膜癒着を認める。肺門リンパ節は直径10 mm 程度のもの数個(一見癒合しているが弾 性硬だが転移はなさそう)かみられる。S5末梢に4 x 3.5 x 2.5 cm のやや辺縁不整な弾 性硬の腫瘤を触知し、葉間面、胸壁面相方に突出し、同部の胸膜表面はやや粗?。 明瞭な胸膜嵌入は見られない。肺尖部は顆粒状て、ざらついた印象かある(蜂窩肺??)。
伸展固定肺: 肉眼所見:22.5 x 14.0 x 6.5 cm の大きさの左肺上葉で、肺尖部を中心に炭分沈着 が中等度〜高度見られる。肺尖部は一部 bullous で胸膜の癒着もみられる。ま たS3領域末梢に胸膜の肥厚がみられるが、この部には癒着はない。肺門には直径 0.5 - 1.0 cm 程度のリンパ節かいくつか腫大している。
S4‐5の境界部付近に直径1.0cm程度の胸膜嵌入をともなった腫瘤がみられる。腫瘤 はおよそ2.5x2.5x2.5cimの大きさで、腫瘍割面では内部に炭分沈着を認めず、円形 の腫瘤とその周囲の境界不明瞭な浸潤像からなり、後者には内部に黄色の小粒状結 節がみられ、これは肺炎の可能性かある。この部分を除くと腫瘤は円形で、集束像 は明らかではない。一見扁平上皮癌様である。 腫瘤はその末梢でV4bによって二分され、下方の部分はB5aiか、上方はB4bii αろが関与する。
肺実質には胸膜直下に focal traction emphysema が軽度見られるが、概ね正常 に近い。炭分沈着も強くない。 肺門のリンパ節の割面では、小さな白色の結節(直径 1 cm 程度)が炭分沈着の中に みられ、転移を思わせるがリンパ節内の分布は均一で、大きさも均一である。