( Back / Up / Next )

組織像 :腫瘍細胞の増殖形態は、先進部では肺胞胞隔上を一層に増殖進展し、中心部では肺胞は collapse し、小葉の中心部の含気を残しながら腫瘍細胞が進展する、いわゆる分化型腺癌の増殖パターンである。腫瘍中心部において残された含気がレ線上、腫瘤を全体に淡い陰影としている理由であろう。気管支壁自体の破壊は少ない。  一部腫瘍細胞が塊状を呈する部分では腫瘍細胞は不完全な腺腔を形成しており、やや分化度が低い。  腫瘍細胞は比較的大型であるが、大小不同は中等度で、核は細顆粒状で粗造なクロマチンを有し核小体は不鮮明ながらも1個確認される。胞体の中には粘液を思わせる、核を圧排する空胞もみられる。  血管侵襲は明らかでないが、胸膜弾性板の直下のリンパ管に腫瘍細胞の浸潤がみられる。  胸膜面では外弾性板の破壊は明らかでなく、その胸腔側に強い線維化を来している。この線維化巣の中に腫瘍細胞は浸潤していないが、前述のごとく弾性板直下のリンパ管への浸潤がみられ(p0)る。胸腔面への腫瘍細胞の直接の露出は確認されない。



( 胸部正面 / CT肺野 / CT縦隔 / 乾燥伸展標本 / 軟線撮影 / 再構成像 / 組織像 / 最終診断