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組織像

 腫瘍細胞は肺胞隔壁上を一層に進展し、進展を受けた肺胞隔壁は軽度の肥厚を来している。辺縁部の腫瘍細胞の形態はartifactのため識別できないが、中心部では木釘上の形態を呈し、光顕レベルではクララ細胞型の高分化型腺癌と思われる。
 一方、B6bの下方に、中心に乾酪壊死巣をともなった類上皮細胞性肉芽腫が見ら れる。坑酸菌染色では結核菌を見いだせなかったが増殖性結核が考えられる。また の病巣の外側には好中球細胞漫潤を主体とする化膿性肺炎が認められる。
  気管支断端(−)、リンパ管侵襲(++)、胸膜浸潤(p0)、肺内転移(pm0)


最終診断

組織診断:We1l differentiated adenocarcinoma of the lung
     (clara cell type by 1ight nicroscopic f1ndings)
部位診断:S6b(B6bi、ii)(B6aiiろ、B10ah、B9ai)、A6b、V6b
根治度:絶対的治癒切除
病理病期:p T1N0M0病期I期

副病変

1)肺結核症(S6b)
コメント:本例は高分化型腺癌と肺桔核症を併発していた症例で、肺結核の発生機 序に関して興味深い。 組織学的に腫瘍の中心部より離れたところにelasisの少 ないはん痕形成があり、ここに結核の活動性病変がみられ、 鈍な胸膜嵌入を有することなどの所見は、腫瘍発生前に既に結核性病変か形成されていた可能性を否定できない。



( 胸部正面 / CT肺野 / 乾燥伸展標本 / 軟線撮影 / 再構成像 / 組織像 )