大阪医科薬科大学衛生学・公衆衛生学Ⅰ・Ⅱ
教授 玉置 淳子

　日本では高齢化に伴い糖尿病死亡率の高い状態が続いていますが、糖尿病死亡率低減のためには、糖尿病を含め多岐にわたる疾患を引き起こすメタボリック症候群に対峙することが不可欠です。近年、メタボリック症候群の本態はインスリン抵抗性と呼ばれる血糖値を下げるホルモンの効きが悪くなった状態であることが明らかになってきました。このインスリン抵抗性を引き起こす主要な因子の一つが、アディポカインと呼ばれる物質です。アディポカインは、脂肪細胞から分泌され、身体に様々な影響をもたらす複数の因子の総称で、生体内では血糖値を下げる働きを持つインスリンの作用に影響を及ぼします。本研究は、JPOSコホート研究の15年次調査(2011，2012年実施)と20年次調査(2015～2017年実施分)、及び25年次調査（2022年実施）の一部で既に取得された情報を用い、糖尿病あるいはメタボリック症候群などの生活習慣病発症・進展とアディポカインとの関連を明らかにすることを目的としております。その結果、糖尿病およびメタボリック症候群の発症やその後の動脈硬化や骨折などの合併症の予防に貢献することを目指します。
　本研究は、令和4年12月に大阪医科薬科大学研究倫理委員会の承認を受けています（試験番号 2022-161）。

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