大阪医科薬科大学 大阪医科薬科大学
口腔外科学教室

研究プロジェクト

研究プロジェクト

実践的な診断や治療へ広がる研究

口腔外科学教室では世界に通用する診療・診断に役立つ研究を行なっています。

1. チタンを用いた顎再建デバイスと表面処理方法の開発

チタンは骨と結合し生体内適応性の高い金属です。その特性を活かし整形外科、形成外科、脳神経外科、口腔外科などの欠損骨再建デバイスに使用されます。
特に顎骨などの複雑な形状であり、咬合などの強い力が加わる部位では、骨との高い結合力と精緻な形状的合性が求められます。当教室では、高い骨結合力をチタンデバイスに与える表面処理方法の研究を行ってきました(写真①)。

写真①

写真① 引用:Y. Sawai, K. Inoue. et,al., J Biomed Mater Res. 2023;1–15.

この処理によりチタン表面には骨形成関連細胞を活性化させるマイクロ・ナノ構造が形成されます(写真②)。

写真②

写真② 表面処理によりチタンに新生骨が結合

こうしたチタン表面処理がどのような骨形成能を持つのかを、擬似体液でのアパタイト形成や実験動物の欠損骨を用いて解明しています。また、2022年には国内で初めて選択的レーザー溶融法を使ったAdditive Manufacturing(A.M)法による顎骨適合型プレートを実用化しました(写真③)。

写真③

写真③ 欠損顎骨へのAdditive Manufacturing技術の応用

当教室は、低侵襲で高い機能回復を実現するチタンデバイスの開発に挑戦しています。

2. 口腔内細菌叢のメタゲノム解析と全身疾患の関連

消化管には無数の細菌が存在し全身に様々な影響を与えています。この消化管の細菌叢の乱れが様々な疾患の発症に関連することが多くの研究から解明されつつあります。
口腔は消化管の入り口です。口腔にも無数の細菌が存在し固有の菌叢を形成しています(画像①)。

画像①

画像① 唾液サンプリングから口腔内細菌叢の解析

当教室では次世代シークエンサーを用い、ヒト唾液を採取し口腔細菌叢のメタゲノム解析方法を確立しました(画像②)。

画像②

画像② 口腔内細菌叢の多様性解析からの疾患特異性(動脈硬化)

そして本院の内科・外科・産科などの診療科と共同で、「口腔内細菌叢の乱れと、糖尿病・動脈硬化・妊婦の合併症などとの関連」を研究し、海外National Dental Centre Singaporeと共同して、「民族間による口腔内細菌叢の多様性の違いや、糖尿病発症との関連」を国際共同研究として実施しています。
こうした研究成果が、全身疾患発症を予見することができるような革新的な検査方法になることを目指しています。