大阪医科薬科大学内科学IV教室

私たちは2017年に誕生した新しい教室です。 ・ 純粋で謙虚な気持ちを忘れない医師の育成 ・ 高い専門性と包括的な診療の両立 ・ 基礎及び臨床研究による医学への貢献を目指します。

 私たち内科学IV教室は、2017年1月に脳神経内科とリウマチ膠原病内科の2つの診療科から構成される教室として、誕生しました。脳神経内科は、1974年に内科学I教室の第2代教授である茂在敏司先生の着任から始まる長い歴史をもちます。リウマチ膠原病内科は、1994年に槇野茂樹先生が立ち上げられ、短い期間に診療科として大きく発展しております。内科学IV教室の創設とともに、2017年4月より、私が教授に就任いたしました。

 医学の進歩は目覚ましいものがあります。しかし、その一方で医療によって起こりうる不利益を予想することは難しく、個人にあった治療法(テーラーメイド医療)を行うまでには至っておりません。新規治療薬といえども限界点があり、どの程度、根本的治療に結び付いているか治療効果を理解しなくてはいけません。新しい情報や治療法を取り入れるため、そして日常診療に当たるときの心構えとして、次の故スティーブ・ジョブズ氏の言葉(一部改変)を掲げます。

Stay hungry.
Stay foolish.
Stay straightforward.

 好奇心(hungry)を忘れない、純粋な発想と驕らない気持ち(foolish)を持ち続ける、率直(straightforward)である…この言葉を教室員と共に実践して、明るく楽しい教室を目指します。

 脳神経内科とリウマチ膠原病内科、この2つの診療科の共通点は、いわゆる“難病”を有する患者さんが多いことです。この、“難病”診療において、最近の新規治療薬の登場は目覚ましいものがあります。リウマチ膠原病の分野では、新しい生物学的製剤や免疫抑制剤が次々と登場し、関節リウマチやSLEなど、一昔前には難渋した疾患でも、症状を緩和し、進行を抑制することができるようになりました。脳神経内科の分野でも、脊髄性筋萎縮症や家族性ポリニューロパチーにおける分子標的治療薬、多発性硬化症における再発抑制薬、進行期パーキンソン病における持続的レボドパ投与治療など、着実に新しい治療法が登場してきています。当教室では、専門医の指導のもと、的確な診断を行い最善の治療法を提供していきます。一般的な内科の素養を基礎に、より高い専門性を持つ医師を育成していきます。

 さらに、未だ有効な治療法が見出されていない難病においても、安心して療養生活を送れるように、包括的な診療の提供を粘り強く行うことも大切であると考えております。脳神経内科では、ALS、脊髄小脳変性症、筋ジストロフィーなどが、このような対象になります。脳神経内科とリウマチ膠原病内科は、併設されている難病総合センターを介して、コメディカルの方々、地域の医療機関、かかりつけ医と協力して、在宅医療の充実にも力を入れています。

 研究には、臨床的な研究と基礎的な研究があります。脳神経内科の臨床的な研究では、パーキンソン病、重症筋無力症、ALSについて、日常診療から蓄積されたデータを活用し、または目的を定めて前向きに観察して、診断・治療に結び付くような研究を行っております。基礎的な研究では、私の専門分野ですが、培養細胞や動物モデルを用いて、パーキンソン病の病態解明と治療法の開発を目指した研究を行っております。リウマチ膠原病内科では、関節リウマチ、SLE、皮膚筋炎に伴う間質性肺炎など豊富な症例を利用して、臨床研究を行っております。また、膠原病に伴う間質性肺炎の治療法開発を目指した研究を行っております。当教室では、脳神経内科とリウマチ膠原病内科のカップリング効果が最大限発揮できるよう、単科では行いにくい共同研究を進めております。いずれも、臨床に役立つことを基本にしています。また、大学院生の指導を教室全体で取り組んでいます。

 日々の診療は、難解な方程式を解こうとするようなもので、いくつかの選択肢の中から最善と思われるものを選ぶことが求められます。また、高い専門性と包括的な医療を両立させるためには、それを行うための心理的・物理的な余裕を持てるような環境で医師を育成していくことが重要です。しっかりと、落ち着いて医師としての技量を上げられるよう、診療環境の向上に努めております。当教室では、スタッフ一同、多くの若い医師の入局を心よりお待ちしております。皆さんの希望を尊重し、良いところが伸びるようにスタッフ共々専心していきます。最後にまた、故スティーブ・ジョブズ氏の言葉をあげます。こんな気持ちを共有できたら、とても嬉しいです。

Being the richest man in the cemetery doesn’t matter to me…
Going to bed at night saying we’ve done something wonderful…
that’s what matters to me.

- Steve Jobs -

墓場で一番の金持ちになることは私には重要でない。
夜ベッドの中で我々は素晴らしいことをしたと思えること、それが重要だ。




<略歴>
1991年 山形大学医学部医学科卒業 山形大学医学部第3内科入局
1996年 山形大学大学院医学系研究科博士課程修了
1996年 山形県立中央病院脳神経内科
1997年 東京都精神医学総合研究所 流動研究員
1999年 カナダトロント大学 ポストドクター
2002年 山形大学医学部第3内科 助手
2010年 同講師
2016年 同准教授
2017年4月 大阪医科大学(現:大阪医科薬科大学)内科学IV教室教授・脳神経内科診療科長


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