安全で高品質な薬を届けるため、
研究室で知識と技術を
磨いています。
薬学部 第5学年畑中 悠成 さん
- 現在、主にどのようなことを学ばれていますか?
- 5年次で中心となるのは二つあり、一つ目が薬局と病院で22週間かけて行う実務実習です。大学の講義では学べない臨床現場の知識や技術、患者さんとのコミュニケーションを学ぶことができ、とても有意義な時間でした。二つ目が、研究室の活動です。現在、製剤設計学研究室に所属し、難溶性医薬品の溶解度向上を指向した製剤設計の研究を行っています。地道に手を動かして、先生方や研究室の仲間と協力し、挑戦を繰り返す中で、結果を出すことができる楽しさを実感しています。

- 薬局での実務実習では
どのような学びが得られましたか? - 私が実習を行わせていただいた薬局では、主に軟膏や外用剤の処方が多く、皮膚疾患や整形外科の患者さんと多く関わることができました。知識はしっかり身につけていたつもりでしたが、実際の現場ではその応用が求められ、自身の力不足を痛感しました。患者さんとのコミュニケーションでは、一方的な指導ではなく双方向にコミュニケーションを取って、患者さんの声を“聴く”ことの重要性を再確認。専門用語を分かりやすい言葉にかみくだいて説明するように心がけました。

- 病院での実務実習はどうでしたか?
- 病院実習では、国立循環器研究センターで循環器疾患における最先端の治療や薬物療法についてふれることができました。特に印象に残っているのは、NST(栄養サポートチーム)やICT(感染対策チーム)などのチーム医療に参加し、多職種連携における薬剤師の役割を体験できたことです。ある患者さんの薬剤量の調節で難しい判断が求められたときに、薬剤師の方が医師に意見を即答されているのを見て、その早さに驚くとともに、発言の裏付けとなる知識と経験の必要性を強く感じました。

- 研究室ではどのようなテーマに
ついて
研究を進めていますか? - 医薬品と患者様を「モノづくり」でつなぐ製剤に興味があり、製剤設計学研究室を希望しました。現在は、BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)※に用いられる薬剤の溶解度を改善させるために、さまざまな添加剤と組み合わせることで製剤設計を行っています。そして作成した試料をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)などの分析機器で評価を行ったり、細胞や動物を用いた実験で生体内での薬物の挙動を調べたりしています。先生方は学生の自主性を大切にしつつ、積極的にサポートしてくださる環境なので、とても充実した研究活動が行えています。 ※中性子とホウ素の核反応を利用し、がん細胞を選択的に破壊する放射線治療法
学びのステップ
- 入学前
- 化学と生物が好きだったことと、将来は人の健康に貢献したいと考えていたことから、薬学部を志望しました。両親や担任の先生に相談する中で、本薬学部の前身である大阪薬科大学は私立大学の薬学部として4番目に長い歴史を持ち、長年の薬学教育のノウハウと高い国家試験合格率があることを知り、本学への進学を決めました。
- 1 〜 2 年次
- 入学前、薬学部は勉強がしんどいというイメージがあったのですが、あまり苦労した記憶はないです。個人的に大変だったのは「薬用天然物化学」で、覚える量が本当に膨大でした。「医療人マインド」などの授業を通して、薬剤師に求められる役割や姿勢を学ぶ中、薬局に行った時に、自然と患者ではなく薬剤師の目線で物事を考えるようになっていました。
- 3 年次 〜 現在
- 専門的な授業が増え、勉強がハードになる一方で、自分の知っている薬の作用機序などを学ぶことができ、どんどん薬学が面白くなっていった時期です。また、実務実習を経験し、薬剤師は担当した患者さんの治療にしか関われないが、製薬企業なら薬を通してもっと多くの患者さんの命や健康に貢献することができるのではと考えるようになりました。
- 将来の目標
- 将来は、製薬企業の品質管理職として高品質な薬の安定供給に貢献し、できるだけ多くの人々の健康を支えたいと考えています。そのためにも今、製剤設計学研究室でHPLCなどの分析機器を用いた研究活動に励み、日々試行錯誤を繰り返しながら、知識や技術を磨くとともに忍耐力や計画性を身につけていっています。