会長ごあいさつ 大阪医科薬科大学医学会は、本学の学生、教員、卒業生によって構成される学術団体です。医学部以外にも活動対象を広げておりますが、現状では投稿内容の大部分が医学分野であることから、2023年 第99回医学会総会後は学長から医学部長が会長を引き継ぐことになりました。

 本会の歴史を紐解いてみますと、本会は昭和7年 (1932年) 9月に大阪高等医学専門学校医学会として発足しました。大阪医科大学の前身である大阪高等医学専門学校が開校したのが、昭和2年(1927年)ですから、医学会は早くもその5年後に発足し、現在まで九十年余の歴史を刻んでいることになります。記念すべき第一巻、第一号の編集責任者としては病理学教室の初代教授である江口季雄先生のお名前がありましたが、残念ながら「医学会発足の辞」は認められませんでした。その後、太平洋戦争が勃発したため、昭和18年(1943年)に第10巻6号を以って休刊となりました。当時、編集長であった羽野壽先生(薬理学教室教授)が「やがて状況好転し、本誌復活の時期の到来を期待し、会員諸君の健康を祈り休刊の辞となす」と宣言されております。当時の印刷物は紙質も極端に悪く、厳しい状況にあったことが伺い知れました。

 戦後、昭和25年(1950年)に待望の大阪医科大学医学会として復刊となりました。当時の松本信一学長(京都大学名誉教授)は復刊の辞の中で、「わが国の学問的水準の高揚を計ることは、われ等の進んで負うべき使命であり、この校誌が多数会員の志向に基いて、新たな構想のもとに復刊されるに至ったわけはここにある」と本学の学問的水準の向上を目指すことを強く謳っております。さらに本誌の目的を以下のように挙げています。意訳して箇条書きにすると、

1. 会員の著作が手軽に且つ迅速に刊行できること

2. 広く学会の宿老や新進の力作を掲載して研究心を高めること

3. 優れた臨床経験を掲載し、若手医師の訓練や診療の規範とすること

4. 保険問題の実際を掲げて人類福祉の方策を練ること

5. 東西学説の動向を紹介して幅広く医学知識を蓄積すること

などと記載されています。終戦直後とは時代背景は異なりますが、その根底にある趣旨は、学術研究を深め、臨床技術を高めて医学の進歩に貢献することに集約され、その思想は現在にまで連綿と受け継がれております。

 2022年度の医学会会員は、学内会員408名、学外会員117名、賛助会員23社で、この事業は年2回の学術講演会、総会における研究奨励賞の授与、さらに年2回の大阪医科薬科大学雑誌の発刊です。従来は学位論文の掲載が多く、投稿もそれなりにあったのですが、近年は英文雑誌への投稿が主で、とくに学位論文はIFのついた英文雑誌への掲載が推奨されているため、投稿数が減少し、編集員会も苦労されています。大阪医科薬科大学医学会誌は前述のように九十年余の歴史を誇る伝統的な医学雑誌です。ジャンルは問いませんので、ぜひ本誌の積極的なご活用をよろしくお願い致します。

 

大阪医科薬科大学医学会
会長 内山 和久

 

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