教授挨拶
大阪医科大学皮膚科学教室の歴史は古く、1929年に佐谷有吉大阪大学教授が嘱託医として勤務されたのが始まりです。1931年に三内健治先生が初代教授に就任され、その後、栗原善夫教授、安原稔教授、清金公裕教授へと伝統が引き継がれ、皮膚腫瘍の発生病理に関する優れた業績をあげられてきました。
平成21年4月1日からは私が第5代教授として教室を担当させていただいております。また第3代の栗原教授時代には同じ皮膚科医である松本信一先生(京都大学名誉教授)が長きにわたり学長をされ本学の教育、研究の発展に尽力されました。本学の発展の歴史の一部に皮膚科医の大先輩が多大な貢献されたことは現在の我々皮膚科スタッフの誇りでもあります。
私が1986年に本学を卒業した後、京都大学医学部皮膚科学教室の大学院時代に、私のこれまでのライフワークの原点であります色素性乾皮症(XP)、コケイン症候群(CS)の患者様、ご家族との出会いがありました。XP、CSは紫外線性DNA損傷の修復欠損で発症する遺伝性の難病です。米国国立衛生研究所への留学、兵庫県立尼崎病院皮膚科勤務を経て、1998年から浜松医科大学に転任し、当時本邦で唯一であったXP・CSとその類縁疾患の診断センターを立ち上げ、主としてXP、CSの遺伝医療の発展に尽力してきました。
またDNA修復という観点から皮膚老化の基礎研究も行って参りました。2005年に縁あって浜松医科大学から本学皮膚科に助教授として着任いたしました。私の専門は光皮膚科学、光生物学、分子遺伝学でありますが今後も本学皮膚科学教室において「光」、「遺伝」をキーワードにした様々な臨床研究を展開していきたいと思っております。
まだまだ若輩者で微力非才の身ではありますが、今後、これまでの本学皮膚科学教室の伝統を守りつつ高槻茨木地域の基幹病院である本学の皮膚科部門を充実させていく所存です。すなわち、一般皮膚病から難治性皮膚疾患まで全ての皮膚病に悩まれる患者様に対して質の高い、安心、安全な医療が提供できますように皮膚科全スタッフ共々全力をあげて頑張らせていただきます。さらに、優れた皮膚科医を育成するための皮膚科専門医養成システムの構築も早急に行いたいと考えております。