先天的な大動脈弁の異常、大動脈弁直下の心室中隔欠損VSDの存在、または他の原因で大動脈弁のかみ合わせが悪くなり(閉鎖不全)、逆流を生じた疾患です。早い時期に手術やカテーテルによる治療を必要とする場合があります。
大動脈弁から左心室への血液の逆流のために左心室は大きく拡大していきます。運動時の息切れや呼吸困難が代表的な症状です。逆流が大量で弁を修復できない場合は弁置換をせざるを得ない場合があります。この置換では人工弁やホモグラフト(亡くなった方の弁を凍結保存したもので日本での入手は限られています)が使われます。
しかし、最近では多くの患者さんで、ご自分の肺動脈弁を取り出し、それを痛んだ大動脈弁と交換することが可能になってきました。この肺動脈弁の機能は良好であり、お子さんの成長と共に大きくなります。しかしながら、本来の肺動脈弁がなくなったため、そこを人工血管やご自分の心膜で作った導管あるいはホモグラフトで置き換えます。この肺動脈再建部分は耐久性の問題があるために、将来的に再手術が必要になります。このタイプの手術をロス手術と呼びます。