大動脈が右心室から立ち上がっているため静脈血(一般的に酸素が少ない黒いまたは青い血液)が流れ、一方肺動脈は左心室から立ち上がっている疾患です。要するに大動脈と肺動脈がひっくり返って心臓に繋がった状態です。
赤ちゃんは生後直ぐにチアノーゼをしめし、直ちに治療を必要とします。生きるためには動脈管または卵円孔の開存が必要です。卵円孔はカテーテルで拡大することが可能でバルーン心房中隔裂開術(BAS)とよばれ、通常生後数日内に行われます。足の付け根の血管から風船付きカテーテルを卵円孔に通し風船を膨らませ卵円孔越しに引っ張ります。
基本的に手術が必要で、大動脈スイッチ手術(ジャテン手術)が生後1−2週で行われます。大動脈と肺動脈をひっくり返し正常の接続(大動脈は左心室から、肺動脈は右心室から)に戻し、心臓の筋肉を栄養するとても小さな冠動脈も新しい大動脈に移植します。1980年代後半までは非常に困難な手術であったため、心房で血流の左右を入れ替える手術(マスタード手術、セニング手術)が行われていました。