心房中隔と心室中隔の両方にまたがる大きな欠損(大きなASDと大きなVSDが融合した状態)を通して、心房と心室レベルで血液が交通してしまいます。
心房と心室の間に存在する弁は、正常は僧帽弁と三尖弁と2つに分割されていますが、この疾患で2つには分割されていない大きな一つの弁(共通房室弁)となり、2つの心房と2つの心室に共有されています。肺循環への血流はとても増加しており、新生児期や乳児早期の早い時期から息切れ(多呼吸)、哺乳力低下、そして体重増加不良などの症状が出現してきます。
この疾患の多くはダウン症のお子さんに合併しています。心房中隔欠損症(1次孔欠損、不完全心内膜欠損症)の重症な状態ともいえます。手術は多くの場合生後3−6ヶ月に行われます。カテーテルによるデバイスでの閉鎖は出来ません。2つのパッチを縫い付けてASDとVSDのそれぞれを閉鎖します。同時に共通房室弁を左右それぞれの心室に合うように2つに分割します。
しかし、左心室側の弁(僧帽弁に相当)は元々の構造の理由から、手術後に漏れ(閉鎖不全)が残ることがありますが、殆どの場合は更なる手術はすぐには必要となることはありません。
ただし、ダウン症ではないお子さんに発生した本症では、弁構造が正常から著しく違っていることがあり、弁修復が非常に困難で、再弁修復や弁置換手術が必要になる場合があります。