二木 杉子

器官形成、組織構築における基底膜の機能解析

 基底膜は上皮細胞や内皮細胞の基底部に形成されるシート状の細胞外マトリックスで、細胞接着の足場として働く(下図)。また基底膜の構成成分は部位によって異なっており、組織や細胞ごとにカスタマイズされた細胞外環境を構築することで細胞の接着・生存・分化・移動を制御し、組織構築に重要な役割を果たしている(参考1-4)。

 胚発生の初期、器官形成期においては上皮組織のダイナミックな形態変化が起こり、それに伴って基底膜の形成・分解や構成因子も大きく変化することが知られている。しかし、基底膜の動態やその構成がどのように制御されているかについては、まだ不明な点が多く残されている。

 このような基底膜の動的変化の過程を明らかにし、基底膜が組織構築にどのように関わっているかの解明をめざして、in vivo、in vitroでの基底膜の動態をライブイメージングなどの手法を用いて明らかにしていきたい。



参考:
1. 筒井 仰、二木 杉子、関口 清俊 (2012) 細胞外マトリックスと幹細胞ニッチ.
 Extracellular matrix as stem cell niche. 再生医療 11(3): 220-238
2. Manabe R, et al., (2008) Transcriptome-based systematic identification of extracellular matrix
 proteins. Proc Natl Acad Sci USA. 105(35):12849-12854.
3. マウス基底膜ボディマップデータベース Mouse Basement Membrane Bodymap,
 http://www.matrixome.com/bm/
4. 二木 杉子、関口 清俊 (2007) 基底膜の多様性と形態形成制御.
 Customization of the basement membrane composition and regulation of morphogenesis.
 細胞工学 26(10):1113-1117