大阪医科薬科大学学報 8号
37/56

Labの同僚とBBQグリフィス天文台Labの同僚と飲み会Osaka Medical and Pharmaceutical University36 医学部 脳神経外科学教室アメリカ研究留学医学生時から漠然と海外留学に憧れを持っており、脳神経外科学に入局後、海外留学の機会があれば参加したい気持ちを持っておりました。鰐渕昌彦教授より当時の大学院生に海外留学の打診があり、大学院在学中に留学させて頂くことになりました。2020年4月から留学開始予定でしたが、WHOの新型コロナウイルス感染症に関するパンデミック宣言により、留学開始が延期となりました。日本で研究生活を送りながら留学開始を待ち、2021年6月中旬に渡米しました。私はカリフォルニア州のサンタバーバラにあるUniversity of California, Santa Barbara (UCSB), Materials Department, Solid State Lighting & Energy Electronics Center (SSLEEC)の中村修二教授の研究室に2021年7月〜2023年5月まで、2023年5月〜2023年10月までNew York州Long IslandのGreat NeckにあるThe Feinstein Institute for Medical Research (FIMR) の Lopa Mishra教授の研究室に所属しました。中村修二教授は青色発光ダイオードの発明で2014年ノーベル物理学賞を受賞しました。私の研究課題の悪性神経膠腫に対する光線力学療法用人体埋込型光源装置開発のため、世界最先端の発明・研究を行う中村教授の下で人体埋込型光源装置を共同で開発しました。中村教授は気さくで大らかな人柄であり、私生活ともに良くアドバイスを頂戴し、非常に頼もしかったです。過去に医師が所属したことのない研究室に一人で飛び込み、日本人の同僚はおらず、工学系の研究に関してほとんど分からない中で研究を始めることになりました。中村教授とは頻回に研究の議論をさせて頂きました。教授が自分の 提 案 を 認 め てくれ た ら、SSLEEC やMaterials departmentや 他 のDepartmentの大学院生やポスドク、教授に相談し、研究を 進 めることが できました。UCSBは 各Departmentとの垣根が低く、相談しやすい環境ですぐに返事をもらえました。しかし、研究費も物品器具も私が望むものは研究室にはなく、他の研究室の機材を使わしてもらう時も利用料が必要でした。自分が自由に研究できるために米国で6つの財団に研究費を申請し、有難いことにGoldhirsh-Yellin Foundationから$87,000の研究費を獲得できました。田中忠彌国際交流基金と同研究資金のおかげで動物実験用の埋込型光源装置を開発できました。UCSBには医学部がなく、New YorkのFIMRに移籍しました。2023年に日本に帰国後、大阪医科薬科大学で同発明の特許を申請、研究を継続し、現在は論文を執筆中です。カリフォルニア州は年中気候が良く、サンタバーバラは 治 安 が 良くて過ごしやすく、UCSBの隣にビーチがあり、穏やかに過ごせました。UCSBから車で1時間ほど離れた治安の良いVentura市に妻と生活しておりました。UCSBからロサンゼルスまで車で2時間程度で行くことができ、妻や別の研究室に所属の数人の日本人とLos Angeles Angelsの試合をよく観 に 行きました。Los AngelesのBaseball, Basketball, American Footballの 強豪チームの試合を観戦しました。研究室の大学院生やポスドクとは定期的に飲み会やバーベキューをして楽しく過ごしました。留学中に第一子がカリフォルニア州で誕生しました。米国に住む人は家族、子供を非常に大切にしており、妻の出産前にはベビーシャワーというお祝いで、職場の同僚、友人が盛大に祝ってくれました。また、第一子誕生後は、第一子に多くの見知らぬ人達も温かく声をかけてくれ、行列に並んでいる時はベビーカーを押す家族を優先して先を譲ってくれたことが印象的でした。米国での生活は日本と環境・制度が異なり、多くの一利一害を経験します。留学前にはない経験をするため、思考方法が変わり、以前より柔軟に対応できるようになったと思えます。工学部という畑違いの環境に飛び込んだ留学を振り返り、積極的な行動が研究の前進に繋がった経験は今後も大事になると思います。留学の機会を与えてくださった鰐渕教授、野々口直助先生のご指導をはじめ、医局関係者、海外生活を支えてくれた妻、留学中に誕生した第一子そして家族に深く感謝申し上げます。井畑 知大 助教(准)生活について最後に留学開始前研究について

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る