Osaka Medical and Pharmaceutical University10 ―断らない救急を実現するのは、決して簡単なことではREDsアプリの表示画面。各室の空き状況がひと目でわかる。患者さんがいたら、できるかぎり手を差し伸べる。そんな気風が根付いていると思います。南 特に緊急入院については、無痛分娩にも対応しています。多くの病院が無痛分娩については、予定分娩のみにしか対応していません。けれども当院では、患者さんが望むのであれば緊急の場合でも対応する。大学病院の中でこのような対応をできているのは、おそらく埼玉医科大学と本学だけだと思います。ないと思いますが。勝間田 そこで、救急対応が可能かどうか、現状を確認したうえで即答するためのシステム、REDs(Responding to a Emergency Demand system:救急応需表示システム)を独自に開発して導入しました。従来なら救急車から電話が入ると救急外来からG-ICU(集中治療室)、手術室、血管内治療、EICU(救命救急ICU)、A7病棟(救急のバックベッド)までの空き状況を各部署に連絡して確認してからでないと受け入れ可能かどうかを返答できなかったのです。これでは時間がかかって仕方がない。だから完全オリジナルのアプリを開発し、スマホで一瞬に各室の空き状況を確認できるようにしました。患者さんを待たせなければ、それだけ救命率が高まりますから。―これもDXの一環ですね。南 病院のDXとは、単なるデジタル化の推進ではないのです。病院の情報をデジタル化してデータベースを構築し、それに基づいて医師はもとよりスタッフ全員が物事を判断する。何ごともデータに基づき吟味しながら進めますが、すべては患者さんに対して温かな医療を提供するためです。勝間田 患者さんには受診してすごく楽だな、お医者さんから自分の方にすぐに来てくれるんだなと安心してほしい。あくまでも医療者の方から患者さんに寄り添い、患者さんが振り向けば、そこに医師がいる。それがスマート医療の真髄であり、温かな病院の理想だと思っています。
元のページ ../index.html#11