̶大阪医科薬科大学は、具体的にどんなメリットを市民にもたらしているのでしょうか。濱田市長 卒業生の多くが、市内の病院や診療所などで医師や看護師として活躍されています。救急医療体制に関しても、高槻市では初期救急から三次救急まで切れ目なく繋がっており、まさに健康医療先進都市と呼ぶにふさわしい体制を確立できています。特に人材確保が難しいとされる三次救急については、以前の大阪府三島救命救急センターの機能を大学病院に担っていただいたことで、充実した医療スタッフのもとで、高度で先進的な医療を受けられるようになりました。何か緊急事態が起きたときにはいつでも大学病院の救急で診てもらえる、これは市民の皆さんにとって大きな安心感となります。高槻島本夜間休日応急診療所の運営についても大学の全面的な協力を得ていますし、全国でも珍しいドクターカーを配備できているのも、大学との協力体制のおかげです。植木理事長 救急対応といえば、コロナ禍のときは本当に大変でした。特に印象に残っているのが妊婦さんへの対応です。コロナ禍での出産に際しては、感染対策を理由に多くの病院が基本的に帝王切開を採用していました。とはいえ帝王切開とは本来であれば、胎児に危険が迫ったり、母親に基礎疾患などがあって、長時間のお産による負担が大きい場合などに限って行われる手術です。母子ともに健全な場合、あえて採用する必要はありません。ですから大阪医科薬科大学病院としては可能な限り、本来のお産「普通分娩」を徹底しました。また三次救急はもとより二次救急や感染症などどのような要請に対しても、本学は「断らない救急」を信条として対応しています。救急対応に当たるのは、救命救急センターだけでなく総合診療科のスタッフもいるので、人員面で支障をきたす心配もありません。̶高齢化率の高い高槻市では、これからどのような対応が必要になるのでしょうか。濱田市長 高槻市の高齢化率の高さは、実は構造的なも̶大阪医科薬科大学病院では高度先進医療を受けられます。これも市民にとっては大きなメリットではないでしょうか。濱田市長 そのとおりです。たとえば大学には関西BNCT共同医療センターがあります。ここではBNCT(ホウ素中OMPU性子捕捉療法)という難治性のがんに関する日本でも最先端の医療を受けられます。そんな高度な医療にもかかわらず、身近にある大学で受診できる。BNCT治療を実際に受けられるのは、2024年11月の時点では日本でもまだ2カ所しかなく、そのような医療を地元で受けられるのは市民にとって大きなメリットです。さらに大学病院ではがんをはじめとして、さまざまな難病にも対応してもらえます。最近、高槻市から転居された方のお話を聞く機会があったのですが、強く印象に残ったのが「他市へ引っ越してみて、高槻市がどれだけ医療に恵まれていたかを痛感した」という言葉でした。高槻市に住んで暮らしていると当たり前のように受けることができていた医療ですが、他の地域に移り住むと高槻市ほど恵まれていない実態が、よくわかるようです。植木理事長 高槻市では、本大学病院を中心として多くの病院や診療所・医院がネットワークを組み、全疾患に対応しています。その上で本大学病院は特定機能病院であり、また16の疾患の拠点病院ともなっています。特定機能病院とは、高度な医療の提供、高度な医療技術の開発と高度医療に関する研修を実施する能力などを備えていて、厚生労働大臣から承認された病院です。その象徴が、先ほどの市長のお話にあった関西BNCT共同医療センターですが、ほかにも学習障害児を評価して指導するLDセンターや、がん遺伝子パネル検査を用いたがん医療総合センターも備えています。ほかにも先進医療として薬剤投与による小腸がんと大腸がんの治療、うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激(γ-TMS)療法を行っています。どのような難病に対しても「断らない」体制を整えて高槻市民の皆さんのお役に立てるのは、我々としてもうれしい限りです。5大学に対する高槻市の期待に応えるこれからも「先進」を推進していくための取り組み特 集
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