̶最後に学部間連携での研究について教えてください。内山 もっとも典型的な事例となるのが、関西BNCT共同医療センターでの研究活動です。BNCT、すなわちホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素製剤と中性子線を活用しますから、薬学部との共同研究が進められています。2024年の1月に開かれた第2回のBNCT研究会では、医学部と薬学部だけでなく、センターの看護師からの実践報告もありました。大野 学部間連携については、5年生や6年生が医学部の講座で卒業研究の指導を受けるケースもあります。また、医学部の学生も基礎配属として薬学部に来て研究する場合もあり、互いに研究交流があります。ほかにも学内研究助成制度を活用して、学部間の交流による全学的な研究プロジェクトを進めています。赤澤 看護学部では教員になると臨床を離れるケースが多く、医学部や薬学部と共通の研究テーマを見つけるのが難しいのが実状です。そこで教員にも臨床に出るよう勧めているところです。私自身も形成外科で外来対応していますが、やはり臨床に携わると視野が広がります。臨床に出ながら、医学部や薬学部と連携して研究を進めていく体制をこれから整備していきたいと考えています。̶医学、薬学、看護学の3学部が揃う大学は、国内にそれほど多くありません。本学だからこそ実現できている、学部間連携の取り組みはどのようになっているのでしょうか。内山 まず、これからの医療に欠かせないチーム医療を学ぶために、多職種連携教育のプログラムが用意されています。具体的には1年生に「医療人マインド」の授業を、医学部生、薬学部生、看護学部生が合同で受講します。更に2年生の「医療と専門職」の授業で、専門職種と協働できる基礎能力を身につけます。その上で4年生後半からは病棟に出て、臨床研修医と共に患者さんを担当します。その際に看護師、薬剤師、栄養士やソーシャルワーカーなどと共に活動し、チーム医療を実践的に学びます。特にカンファレンスでは、さまざまな職種の人が集まって一人の患者さんに向き合う、医療の本質的なあり方を身をもって学びます。大野 多職種連携やチーム医療を実践的に学べる、本学ならではの環境を最大限に活用しています。新モデル・コア・カリキュラムで求められる10の資質の中にも記されている多職種連携は、臨床薬学に力を入れる上でも重要と認識しています。また臨床カンファレンスや僻地医療への参加など、医療現場で学ぶプログラムが用意されているのも、ほかの薬学部にはない特長でしょう。これまでも薬局と病院それぞれで11週間ずつの実習がありましたが、新モデル・コア・カリキュラムでは、さらにアドバンス実習の試みが組み込まれOsaka Medical and Pharmaceutical University充実に力を入れています。ほかにも、がんプロフェッショナル養成コースでは、抗がん剤の創薬研究や新たながん治療法などの研究を推進しています。赤澤 大学院修士課程には教育研究コースと高度実践コースがあり、高度医療人材の育成については高度実践コースで対応しています。大学院開設当初から専門看護師(CNS)の育成に務め、2021年からナース・プラクティショナー(NP)の育成にも取り組んでいます。大学病院からも毎年1〜2名の看護師が修士課程で学んだ後に、病院に戻って活躍するなど臨床の質を高めることに貢献しています。看護師としてある程度の実践を積んだ後に、より良い看護を行うための研究に取り組み、その成果を現場にフィードバックしていく。看護学部の大学院としてあるべき姿の一つだと思います。院生の皆さんにはつねに、研究を臨床で実践して地域全体の看護の質の向上につなげてほしいと伝えています。※高知県での現地実習風景 https://www.ompu.ac.jp/education/IPE_local.htmlています。これらに対応できる臨床実習のための環境の充実ぶりが、本学の強みだと思います。赤澤 看護学部でも各学年で実習を行っていますが、3年生の実習では医学部、薬学部の学生と一緒にカンファレンスを行っています。一人の患者さんに対して、3学部の学生がそれぞれの視点から考えて議論する。これは他学部の視点を多角的に学べる貴重な機会となります。4年生のときには、医学部、薬学部の学生と3人でチームを組み、高知県での訪問看護師との実習に参加しています。これも実践的な多職種連携の学びとなっています。現地実習風景63学部と病院が揃うからこそできる、実践教育の充実学部間連携でさらに高度な研究に取り組む
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