7OMPU今回の訪問先― 池西先生が取り組まれている看護教育学の概要を教えてください。 看護教育学とは、看護専門職の育成方法を追究する学問領域です。具体的には看護師育成に関わるさまざまな要因の探求をはじめとし、教育方法や評価法などの研究を通じて、看護職育成のためのよりよい教育プログラムの開発をめざしています。そんななかでいま主要なテーマとして取り組んでいるのが「看護職のリフレクション学習を支援するファシリテーター育成プログラムの開発」です。看護教育学は、看護学生や看護職の成長支援を通じて、質の高い看護の提供をめざします。その学びを深める手法の1つがリフレクション学習です。リフレクションが意味するのは「振り返り」や「内省」など。つまり自分の行動や思考を振り返って言語化し、その経験に基づいて新しい意味を見出す。これがリフレクション学習です。実践経験の成果を学生の支援にも活用している結果が、国家試験合格率100%にも繋がっています。― 看護職のリフレクション学習とはどのような内容なのでしょうか。 リフレクションとは、振り返りです。自分が行ってきた行動を後から振り返ってみて、よいところやよくなかったところをまず見直します。そこから得られた学びを、次の実践に活かしていくのがリフレクション学習のエッセンスです。看護職の仕事は常に患者さんと向き合いながら進められ、そのときに使う道具は自分自身です。たとえば職人さんたちが道具を磨きながら腕を上げていくように、良いケアをするために看護職は常に自分自身を磨き続けなければなりません。そのため日々患者さんに対して行った看護を常に振り返り、まずよかったところをしっかり認識しておくのです。そのうえで次に同じような状況と巡り合わせたときに、よりよい看護をするためにはどうすればよいかとあらかじめ考えておく。同時によくなかった点については、二度と繰り返さないようにと事前に考えておく。そんな学びを繰り返すのがリフレクション学習です。研究室訪問看護学部リフレクション学習これまでの看護を振り返り、これからの看護に活かす看護教育学教授 池西 悦子
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