大阪医科薬科大学学報 5号
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̶とはいえ看護学部では、全授業をオンライン化するわけにはいきませんね。赤澤 看護学実習をどうするかが、最大のポイントでした。こればかりは実習先の病院が受け入れてくれない限り、いくら実習をしたいといってもどうにもならないわけです。幸い、本学では大学病院に受け入れてもらえたのが、何よりありがたかったです。ただ受け入れてもらうからには、学生たちにも行動方針を遵守するよう徹底しました。あとで話を聞くと附属病院を持つ看護系大学のすべてで、実習をできたとは限らなかったようです。その点、本学では病院看護部との日頃の関係性が良かったのだと思います。̶その成果が看護師国家試験、保健師国家試験、助産師国家試験の合格率100%として実を結んでいるのですね。赤澤 入学時のジェネリックスキル(汎用的能力)の客観的評価に始まり、チューター制度により各教員が、担当している学生をきめ細かくフォローしています。低学年時から学習指導を徹底するなかでどの教員も、看護実践力を持つ学生を輩出したいと考えています。また各教員の教育方法を共有しながら、優れたやり方はどんどん取り入れるようにもしています。こうした一連の取り組みが、結果として国家試験の合格率に繋がっているのだと受け止めています。̶先ほどお話しいただいた、看護の本質については、どのようにお考えでしょうか。赤澤 看護の本質とは、対象者に寄り添ってできるだけ早く社会復帰してもらうことに尽きると考えています。看護学で学ぶ知識や技術とは、すべて対象者に寄り添うためのものです。もちろん時代により知識や技術は進化していきますから、それには柔軟に対応する必要があります。だから本質をOsaka Medical and Pharmaceutical University6も非常に戸惑いました。基本的にオンラインに移行しながらも、一定の教育の質を担保しなければなりません。対面で行ってきた授業をオンラインで行うからには、授業の時間割を組み直すのはもちろん、オンライン授業に必要なツール類も揃える必要があります。時間をかけて方針決定する余裕はなく、まさに全教職員が一致団結しないと対処できない状況でしたが、何とか乗り切りました。守りながらも、常に改革を重ねていくのです。しかも4年間ですべてを身に付けてもらうのは難しい。だから現場に出てからも看護実践力を継続して高めてもらえるよう、在学中に自発的に考える思考力を身に付けておいてほしいのです。鈴木 本学部では全教員が、看護実践力の高い学生を社会に送り出したいと考えています。だから知識やスキルを含めて主体的に学んでいくように学生を教育したいと思っていますし、良い学生を育てるために良い教育をしたいと全教員が考えています。では「良い教育」をするためにはどうすればよいのか。情報をオープンにして共有しながら、各教員が自問自答するとともに、教員同士でともに考え教育活動に取り組むことだと思います。その結果が、評価結果に表れたのだと思っています。

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