大阪医科薬科大学学報 5号
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5OMPU̶これまで通りにやっていく部分と、改善を加え続ける部分があるわけですね。赤澤 看護学の根幹は揺るぎないものだと考えています。だから本質が変わるようなことはない。これは私たちのポリシーです。一方で具体的な教育方法は、常に変えていくべきです。なぜなら、入学してくる学生たちが毎年変わるだけでなく、卒業後に入っていく臨床の場も年々変化しています。変化する学生の実態を知るために、毎年入学直後の学生に対するジェネリックテストを行っています。その結果、年度ごとに学生には変化が見られるため、それに適応するよう教育方法も毎年見直しています。̶高い評価を得られた理由については、どのように考えられますか。鈴木 高評価は一朝一夕に得られるものではありません。私たちがこれまで積み重ねてきた地道な取り組みが、評価されたのだと思います。看護学部が開設されて以来私たちは、常にPDCAを意識しながら、実施したことは報告書として記録に残し、活動したことや課題の内容も含めて毎年きちんと年報にまとめて、一年の活動を振り返ってきました。そこから次年度に向けた課題を抽出して、改善を続ける。こうした看護学部の教育に取り組む姿勢が、結果的に高評価に繋がったのだと思います。その土台となっているのは、先人の先生方によってしっかりと固められた教育に対する信念やあり方です。赤澤 他の大学から本学に来た私にとって印象的だったのが、学生からの評価を基準として、教員たちが常にカリキュラムを改善しようとする姿勢です。一年を振り返った段階で「これで良かったね」と納得するケースなどまずありません。̶変化といえば、今回のコロナ禍では急激な変化への対応が求められたのではありませんか。鈴木 いきなりデジタル対応しなければならなくなり、私たちロナ禍での看護実習の対応などが、高く評価されていました。鈴木 さまざまな活動を行ってきた中でも印象に残っているのが、実地調査の面談を受けた若手教員たちの感想です。面談の際に評価員にいろいろと質問された中で「自分たちとしては当たり前と思って取り組んでいた内容が、実は高く評価されるのだ」と気づいたそうです。第三者評価により、自分たちの強みを確認できた点は何よりの成果だったと思います。そして、いくつかの指摘を受けましたので指摘を受けた点については直ちに改善しています。常に「これで本当に良いのか」と自問自答する姿勢を忘れない。このような前向きな姿勢も高評価に繋がっているのだと思います。もとより毎年行っている学生による授業評価アンケートの結果を参考にしながら、看護学教育センターを中心として改善策を実施しています。これまで通りに改善を続けていけばよいのだと確認できたのも評価を受けてよかった点ですね。特 集看護学の根幹は変わらず、教育方法はその時々の学生に応じて変化する

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