大阪医科薬科大学学報 4号
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Osaka Medical and Pharmaceutical University4大阪薬科大学と病院薬剤部がそれぞれに病院実習に関して協議する調整会議を置いて、実務実習の調整を行っていました。いろいろ異なる中でも議論をていねいに重ねていくと、共通のテーマについてなら接点を見いだせるのがわかりました。このときの経験が今回の機構設立につながっています。すなわち医学部と看護学部に薬学部を加えたとしても、共通のテーマについてであれば接点は見つかり、議論を進められると考えたのです。 また各学部においては教授会を始める際には毎回「教授会とは学校教育法93条に基づく学長の諮問機関である」と、教授会の役割と位置づけを確認するようにしました。これより参加する教授の皆さんには学長から諮問を受けているとの意識が強まり、学長から多面的な意見を求められているのだと認識してもらえるようになったのです。 各課題について教授会で出される忌憚のない意見を聞いた上で、学長が責任のある判断をして最終決定を行います。決定を下した後は、教授会での報告説明を学長が行います。このやり方が浸透した結果、教授の皆さん方が積極的に意見を出されるようになり、ひいては他学部の良いところを取り入れる動きも広がってきました。学部特性による違いを踏まえた上で参考になるところを取り入れる姿勢が明らかになっています。  まず実務実習については、看護学部については既にほぼ出来上がっていますが、これから薬学部と医学部において強化していかなければなりません。 特に医学部ではスチューデント・ドクター(Student Doctor)制度、以前のインターンのような医療行為を学部の5・6年生が行うようになります。そのためにはまず仮の医師免許に相当するスチューデント・ドクター資格を取得する必要があり、また共用試験に合格していなければ医師国家試験を受験できなくなります。つまり学部4年生の段階で試験に合格できるよう指導していく必要があります。同時に5・6年生に医療行為を行わせるには安全を担保するための指導教員を養成し配置する必要もあります。この制度は医師法の改正も伴って本格的に導入されます。医療行為を実施する際には患者さんへの理解を深めていくのも重要な課題です。 また大学設置基準の改正に伴い、基幹教員という考え方が打ち出されています。新たに導入される基幹教員は常勤だけでなく非常勤の基幹教員もあります。それぞれについて最適な配置を考えながら新しい時代の医療系総合大学の姿を形作っていく必要があります。■ 今後の展望について 今後については、大きく2つの課題があります。実務実習の強化への対応と教員全体の配置です。■ 各機構・センターの概要 大学統合から約半年後の2021年11月に学部を横断する仕組みとして大学機構とセンターを設置し、学部間の情報交換や共通する事項の検討を行っています。機構には専任・兼任の事務職を配置し、教職協働体制をとっています。

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