大阪医科薬科大学学報 3号
7/48

̶患者さんの病態に応じた部屋の配置から動線、さらには設備の導入など徹底的に細部まで考え抜かれた設計になっています。南病院長 みんなの意見をできるだけ吸い上げて反映させた結果が、今のA棟の姿です。計画段階では医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士のほか各種の技術職メンバーの参加する建築実務者会議で、まず実務面からの要望を出してもらいました。会議で内容を検討し次は建築プロジェクト推進会議でさらに議論を重ねます。この会議には私を含めて副院長、看護部長と各部長が入って現場からの要望を確認します。必要に応じて修正をかけた上で、最終的に理事長も参加する建築委員会で決定します。一連の流れは可能な限り現場の声を反映させるために整備してきました。̶病棟のカンファレンス室も、その大きさや椅子の設置などに工夫が凝らされていますね。鰐渕副院長 医局にいながらにして手術中の様子をモニターで見られるようになっているだけでなく、その横には電子カルテにつOsaka Medical and Pharmaceutical University6育面で大きなプラス効果があります。南病院長 実は当院は臨床研修医のマッチング率をずっと100%にキープしています。実際今年も過去最多の応募がありました。つまり臨床研修医が何より求める臨床力を培える場として魅力を感じてもらっているのでしょう。こうした状況に加えてA棟には最先端の機器が導入され臨床研修には最適といえる施設になりました。星賀副院長 学生に対する教育はもちろんですが、われわれ世代にとっての学びも考えられた臨床現場になっていると強く感じます。5階に設置された総合医局には、A棟での診療にあたる5診療科すべてのデスクが一堂に集められています。そのため診療科の垣根を超えて話がしやすく、当然ちょっとした相談もすぐにできます。話をしやすい環境がチーム医療を自然な形で後押ししてくれていると実感しています。研修医や学生を交えて話し合える場も設置されていて、みんなが活発にディスカッションしており、教育効果はとても高まっています。ながったモニターも設置されています。このように必要に応じてすぐにカンファレンスを開ける環境は、治療方針などを迅速に検討できる仕様となっています。またカンファレンス室については、適度な広さのスペースとなっているので学生たちの距離が近く、会話しやすい空気感が醸成されています。学生からも「質問しやすい」と好評です。風通しの良さが多くの要望を引き出した

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る