大阪医科薬科大学学報 3号
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̶A棟の最上階、12階にがん医療総合センターが設置された理由は何だったのでしょうか。̶三島救命救急センターの三次救急機能が移転されました。その準備には3年をかけたと伺っています。南病院長 三島救命救急センターは、全国でも珍しい独立型の組織であり、各診療科で専門医の先生方が対応されていました。ただ開設から時間が経っているため建物の耐震性に問題を抱えておられた上に、医師の補充など独立組織ならではの課題も認識されていたため、必要に応じてあらゆる疾患に対応できる当院への移転が決まったのです。中山看護部長 当院でも以前から救急外来で一次・二次の救急に対応していました。これらに加える形で三島救命救急センターの移転が3年前に決まったので、それからじっくりと準備を整えてきました。具体的には三次救急で求められる高度な医療に対応できるよう、救命救急領域の認定看護師や特定行為を実施できる看護師、つまり専門領域に関する高度な知識と技術を持つ看護師を時間をかけて育成してきました。その結果、今では病院全体で認定看護師と専門看護師を合わせて約40名の体制を整えています。鰐渕副院長 救命救急医療を円滑に行うため循環器内科や周産期など合計6つのホットラインを用意しました。これにより各専門科につなぐ際のタイムラグを最小限に抑えられるようになっています。設備面でも2つの蘇生室にはスペースに余裕をもたせていて最新鋭かつベストな設備を導入しています。̶患者さんたちへの気配りという面ではホームページもずいぶん見やすくなりました。鰐渕副院長 ホームページのリニューアルを担当し、7月から一新しました。心がけたのは、患者さんにとって見やすく必要な情報にアクセスしやすいデザインです。PC版に加えてスマートフォン版も改修し、地域の医療関係者の方々に必要な情報も網羅しています。植木實理事長が常々語っている「断らない医療」を実践するためには、まわりの医療機関との連携も欠かせませんので。南病院長 ホームページに関しては昨年、病院機能評価を受けた際にサーベイヤーの先生方から「大阪医科薬科大学病院は宣Osaka Medical and Pharmaceutical University4事を進めているために動線が一時的にスムーズではなくなっていますが、完成が待ち遠しいですね。南病院長 当院は阪急高槻市駅のすぐそばに立地していて、いささかざわついた雰囲気に包まれています。ところが12階まで上がると様相は一変し、非常に静かでしかも眺望が素晴らしいのです。この心安らぐ風景をぜひ、厳しい治療に取り組むためリラックスの必要な患者さんに提供したいと考えました。そのため上層階の用途について12階はがん患者さん、11階は血液内科のがん患者さんに入っていただく割り振りが病棟計画の最初期に決まりました。中山看護部長 血液内科の患者さんは骨髄移植などを受けるケースがあります。そうなると移植後はクリーンルームに隔離されて入院生活を送らなければなりません。自室から一歩も出られず治療生活を送るのは精神的につらいと思います。そんな患者さんたちが窓から開放的で明るい眺望を目にできれば精神的なケアにもつながります。星賀副院長 気配りは三次救急の患者さんに対する動線設計にも反映されています。心肺停止などの重症で運ばれてきた方に対しては、1階で人工呼吸器の装着など応急処置をして直ちに3階のカテーテル室に専用エレベーターで移動できるよう配慮されています。A棟が象徴する患者さんへの思いやり

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