大阪医科薬科大学学報 3号
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9OMPUA棟の開院に伴い、1階に救命救急センターが設置されました。これまで三島医療圏の三次救急を担ってきた三島救命救急センターの機能を引き継ぎ、生命に危険のある重症患者さんに必要な初期の高度治療を専門に行います。検査から治療まで一連の処置を迅速に行える設備を整え、さらには救命救急ICUから中央手術室までのスムーズな動線も確保しています。センター長を務める救急医学教室の高須朗教授に、その概要や狙いと体制などを伺いました。は各診療科の先生方に引き継いで診てもらえます。転院しなくてよい点は地域の患者さんに大きなメリットとなります。 高齢社会に欠かせない救命救急救命救急センターは、およそ人口100万人に対して1つの割合で設置されています。三島圏域では高槻市、茨木市、摂津市と島本町で75万人ぐらいですから、ちょうどよい規模感といえます。以前の救命救急センターとは違って、大学病院では救命救急だけでなく一次から三次まですべての救急対応を求められます。純粋な三次救急患者は年間1,000人ぐらいと想定していますが、現実問題としては二次と三次の境目はあいまいです。例えば救急搬送されてきたものの、受け入れた段階で既に容態の落ち着いているケースがあります。一方で施設に入所する高齢者の容態が急変したケースなどは一刻の猶予も許されません。ほかにも病態としては三次に該当しなくとも総合的に判断し三次として受け入れ社会的責任を果たすケースもあります。これ救命救急センター設置に至ったキッカケは大きく2つあります。1つは設立から30数年を経ていた三島救命救急センターの老朽化であり、特に耐震性に問題を抱えていました。もう1つは、ちょうどそのタイミングで大阪医科大学の創立100周年記念事業として新病棟を建てる話が重なったのです。結果的にこの2つが合わさって移転への流れが本格化しました。救命救急センターは災害拠点病院ですから、震災時にこそ機能を発揮しなければなりません。その点、A棟は想定される南海トラフ級の震災にも耐える構造となっているので何より安心です。A棟1階の半分ほどのスペースに救命救急センターが設置されました。一般撮影室、救急撮影室、CT検査室と蘇生室を備えていて、一刻を争う際でも万全の治療を実施できる設備と体制を整えています。専用エレベーターで3階の救命救急ICUから、必要に応じて中央手術棟へと迅速に搬送できる動線も整えて救命率の向上につなげます。大学病院に併設されているので、病態が落ち着いた段階から特 集地域貢献をテーマに体制整備救命救急センター三島医療圏の命を守る最後の砦

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